皆様こんにちは!営業本部 マーケティングチームのはるです。
2023年4月21日、22日に4年ぶりにリアル会場で開催されたAWS Summit Tokyo 2023に参加しました。その中で、「Be Digital, Be Green:今だからこそ、クラウド」というセッションを聴いてきましたのでレポートします。
概要
「Be Digital, Be Green:今だからこそ、クラウド」
このセッションでは、さらなるデジタル化・サステナビリティ推進・コスト最適化・事業継続性向上に対する課題にAWSがどのように貢献できるかを解説します。また、お客様が成長戦略の柱としてクラウドを活用いただけるよう、業界ごとに異なるお客様のニーズやクラウドネイティブ化にむけた取り組みについても、お客様の事例を交えてご紹介します。
スペシャルセッションページより引用
スピーカー
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
執行役員 事業開発統括本部長 佐藤 有紀子 氏
SAPジャパン株式会社
代表取締役社⻑ 鈴木 洋史 氏
住友生命保険相互会社
執行役常務 汐満 達 氏
セッション内容
01. デジタルでありながら、環境に配慮しよう: 今こそクラウド
「オンプレミスからAWSへの移行は、サステナビリティとコスト面で社会的に貢献できる。既存のデータセンターはコンクリートの使用、炭素排出量、消費電力の面で環境に悪い影響を与えている。AWSはその実態を乗り越え、持続可能な未来を目指すために多くの対策に取り組んでいる。」というのがAWSの方向性だそうです。
また、AmazonとGlobal Optimismはパリ協定を10年前倒しで達成することを約束するThe Climate Pledge(気候変動対策に関する誓約)を2019年9月19日に発表したとのこと。主な目標は以下の通りになります。
AWSはこれらを実現するために、世界各国、また日本でも再生可能エネルギーを活用した以下の取り組みを実施しているそうです。
AWSの取り組みは、環境に配慮しながらクラウドサービスを提供することで、持続可能な未来に貢献するという方向性が感じられました。特に、再生可能エネルギーの活用や低炭素技術への投資など、炭素排出量の削減に向けた積極的な取り組みが行われていることがわかります。
また炭素排出量の削減に向けた取り組みだけではなく、ウォーターポジティブを達成するための戦略についても言及されており、水資源の保全にも取り組んでいることが伺えます。
これらの取り組みは、企業としての社会的責任を果たすとともに、持続可能な社会の実現に向けた一助と言えます。すでに持続可能な社会の実現に影響力を与えているAWSがサステナビリティの実現に向けて、今後どのような新しい取り組みをするか期待できました。
02. SAPジャパン株式会社(以下SAP)の事例
SAPジャパン株式会社は、ERPパッケージをはじめとするエンタープライズ向け業務アプリケーションで高いシェアを持つ企業であり、15年以上にわたりサステナビリティ経営を行っているそうです。SAPは、2023年までに二酸化炭素排出量をゼロにすることを目標に、「気候変動対策ソリューション」というサービスを提供されています。
気候変動対策ソリューションのサービス内容
03. AWSクラウド活用のプロジェクト「ITXパッケージ2023ファミリー」とAWSの活用事例
企業がAWSへ移行する際に直面する課題は企業によって異なるというのが、AWSの見解です。例えば、移行プロジェクトの確実性や速度、中小企業の場合にはリソースや費用問題などが挙げられます。
これらの課題を解決するために、AWSはITXパッケージ2023 ファミリーを提供しています。これには以下の4つの サービスが含まれています。
また、AWSはAWSを導入した企業の担当者がシステムを安全で効率的に、かつ費用対効果も高く利用できるようにサポートするためにWell-Architectedフレームワークを提供しています。システム作成の基本的な考え方として以下の5つの柱を提案しています。
これらの柱に従って、各企業のビジネスニーズに合わせたAWSの設計や仕様を組み込むことで、クラウドジャーニーの課題や不安を解決することができるそうです。
■金融業界の導入例事例
金融業界の事例でAWSはコスト最適化フレームワークを提案したそうです。提案には、以下の内容が含まれています。
特に、CFMフレームワークを通じて、財務の可視化、最適化、予測・計画、FinOpsの実践を行い、利益改善に52%の寄与、売上改善に48%の寄与、IT支出の節約に41%の寄与に貢献できたそうです。
■「キオクシア株式会社」の導入事例
半導体メモリの開発・製造を手掛ける企業であるキオクシア株式会社は、クラウドHPC(高性能コンピューティング)を活用することで、半導体メモリの開発・製造における課題を解決した事例が紹介されました。
■「Comix Wave FILMS」の導入事例
映画「すずめの戸締り」の制作現場、「Comix Wave FILMS」にもAWSが活用されていたそうです。
■「Vitalityサービス」の導入事例
保険会社「住友生命保険相互会社」の健康増進型保険「Vitalityサービス」にAWSを活用していました。
AWSは金融業界や映像制作、保険業界など多様な業界で活用され、業務プロセスの効率化、コスト削減、サービス品質の向上など、クラウドの利点を最大限に活用していることがわかります。
特にCFMフレームワークを通じて、財務の可視化、最適化、予測・計画、FinOpsの実践を行い、利益改善やIT支出の節約に貢献するなど、クラウドの経済効果やコストを最大限に引き出す取り組みがかなり効果的だと思いました。
またAWSは、顧客のニーズに応えビジネス価値を高めるために、継続的にサービスの改善や新しい機能の提供に注力していると感じました。
展望
AWSは、再生可能エネルギーの利用を増やし、省エネルギー化や排出削減技術の導入を通じて、環境に配慮したデータセンターを構築することを目指しているとのことでした。また、データセンター内の廃棄物削減やリサイクルの最適化などの取り組みも行っているそうです。
さらに、AWSは持続可能なITソリューションの提供やプライバシーとセキュリティの向上にも注力し、顧客の持続可能性戦略を支援することが期待できます。これらの取り組みを通じて、AWSはデジタル化だけでなく、環境面や社会面にも積極的な取り組みを行い、持続可能なビジネスを促進していくと予想します。
―コメント
従来からAWSが強調してきたコストとセキュリティ面でのメリットについては理解していましたが、近年ではサステナビリティ面でも多くの取り組みを行っており、それが顧客企業の持続可能性戦略にも大きく貢献していることを実感しました。ただサステナビリティが重要だと公約するだけでなく、実際に取り組んでいるので社会に大きな影響を与えているのだと思いました。
さらに、データセンターの建設に使用されるコンクリートを炭素の発生を10%減らした低炭素コンクリートに切り替えるなど、小さなことでも根本的な解決につながる動きは非常に重要だと思います。10%が大きな数字ではないかもしれませんが、低炭素コンクリートを使用したデータセンターが増えることで、大きな効果が期待できます。そのため、AWSへ移行をする企業が増えることで、より持続可能な未来に貢献することができると考えます。
実際の導入事例からは、AWSが特定の業界だけでなく業界を超えて社会全体に大きな影響を与えていることがわかります。特に、AWSを活用して作業やデータ処理などに掛かる時間を減らすことは、「時は金なり」ということわざのようにリソースを効率的に使用できると思いました。今後AWSをさらに活用するためには、単に利用するだけでなく、各企業の現状やリソースを考慮し適切に活用することが重要だと認識しました。