JX金属株式会社(以下「JX金属」)様は、世界トップシェアの先端素材を多数取り扱う、日本を代表する非鉄金属事業企業です。1905年に創業し、売上高1兆6,378億円(2023年3月期。連結ベース)、従業員数10,759人(2023年3月31日現在。連結ベース)を誇る、業界におけるリーディングプレイヤーです。
業界におけるプレゼンスの大きさは、銅の国内流通価格を決める指標がJX金属様によって発表されていることからもわかります。
近年ではSDGsへの取り組みにも注力しており、持続可能な社会の実現のため、様々な技術革新や地域社会との共存共栄も進めています。「SUSTAINABILITY REPORT 2023 (https://www.jx-nmm.com/sustainabilityreport/)」冒頭で、「私たちは、資源・素材における創造と革新を通じて、持続可能な経済・社会の発展に貢献します」と宣言しています。
フューチャースピリッツは、JX金属様のコーポレートサイト用AWS(アマゾン ウェブ サービス)環境の構築、運用を担当させていただいています。今回、技術本部情報システム部 インフラ担当課長の根上智幸様に、Webサイト運用におけるインフラの重要性についてお伺いしてきました。
コーポレートサイトのリニューアルプロジェクト
根上様は、前職のITメーカーから2013年にJX金属様に入社されました。現在は、JX金属グループ全体のITインフラの管理運用やサイバーセキュリティ対策等を担当されています。
JX金属様のWebサイト(www.jx-nmm.com)のリニューアルも、根上様が担当されたプロジェクトのひとつでした。フューチャースピリッツが制作会社経由でお声がけをいただいたのは、2022年2月のことでした。AWS 環境の構築・保守、及びMovable Typeの移行を担当させていただき、同年9月にサイトリニューアルを完了しています。
後述するように高度な要件を伴う AWS 環境の構築・運用に、フューチャースピリッツは取り組みました。コンテンツ領域のうちMovable Typeに関連する部分も、担当しました。
根上様からは、サイトリニューアルプロジェクトについて「全体的に問題なく進み、意図したものができた」と総評いただいています。
高度なセキュリティ要件を満たすための AWS 環境構築とグローバルセキュリティ対策の詳細
今回フューチャースピリッツが構築した AWS 環境は、高いセキュリティ要件に応える構成です。
複数の環境を異なるリージョンに構築しました。環境間のデータ同期を常時行っているため、万が一の際もサイトダウンの時間を最小化し、サイトを復旧できるようになっています。フューチャースピリッツにて障害発生時のDR運用手順をマニュアル化し、緊急時も両社間で緊密な連携を行って対応を行えるように備えています。
フューチャースピリッツでは AWS 環境上の主要なサービスに対して24時間365日の有人監視を行っており、万が一サイト運用が不安定となった場合も、すぐに察知し、緊急対応を取れる体制を組んでいます。
その他セキュリティサービスとして、AWS WAFやAWS Shield Advancedを実装してネットワークセキュリティを強化し、Amazon GuardDutyによって AWS アカウントとワークロード※ に対するモニタリングを行う等、強固なセキュリティ構成を組んでいます。EC2インスタンスにはサードパーティの総合セキュリティサービスをインストールし、アンチウィルス、侵入検知を行っています。
根上様によると、このような高度なセキュリティ構成は、世界を相手取ったBtoB(Business to Business)事業としては不可欠であるとのこと。JX金属様の顧客は米国を始め全世界に存在しており、万が一にもコンテンツが改ざんされた場合、会社の信用が失墜するほか、影響は多方面に及びます。グローバル企業との取引において要請される情報セキュリティ要件に応えるためにも、強固なインフラ環境を構築、運用する必要があるそうです。
銅の国内流通価格を決める銅建値は、JX金属様のWebサイトで発表されています。この指標の表示に支障が出ると、国内の銅取引にインパクトが生じます。そうした事態を起こさないためのネットワーク環境を、フューチャースピリッツは根上様の要求に応じて構築しました。
※ AWS においてワークロードとは、「リソースと、ビジネス価値をもたらすコード(顧客向けアプリケーションやバックエンドプロセスなど)の集まり」と定義されています。もう少しかみ砕いて説明すると、例えばオンラインショップを運営する場合、Webサイトを動かすためのサーバー、お客様の注文を処理するデータベース、商品の画像を保存するストレージ等、これら全てがワークロードに含まれます。
Movable Type最適化:高効率CMSとWebサーバー分離構成
ちなみに、JX金属様のWebサイトでは、Movable Typeを用いています。
そのため、今回の構成はMovable Typeの特性を生かすための工夫をしています。具体的には、CMS(Contents
Management System)サーバーとWebサーバーを分離することで、CMSサーバーで静的ファイル(Webコンテンツ)を生成する際の処理負荷とWebサーバーでWebコンテンツを表示する際の処理負荷を分離しています。
生成された静的ファイルは、共有ストレージとしてのAmazon EFS(以下、EFS)に配置しています。WebサーバーはEFSを参照し静的ファイル(Webコンテンツ)を表示します。EFSを参照すればよいので、Webサーバーの台数はフレキシブルに増減できます。
EFSの静的ファイルはAmazon CloudFrontでキャッシュするので、Webサイト表示の高速化も実現しています。
未来に向けて
根上様が担当するIT環境は、コーポレートサイト向けクラウド環境に留まらず、国内外のITインフラに渡っています。ITインフラの統合的なガバナンスの強化を今後進めていく中で、本社は「トップランナー」として率先垂範していきたいと根上様は語ります。
2023年の年の暮れ(12月25日)のインタビューでした。来年の抱負を根上様にお聞きすると、「来年も特に特別な年というわけではないですが、着々と、確実に業務を確実に進めていくだけですね」と力強くお答えいただきました。
フューチャースピリッツは、機密性、完全性、可用性を兼ねそろえた強固なクラウド環境のご提供を通じて、JX金属様の事業目標の達成に貢献していきます。
会社名 | JX金属株式会社 |
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URL | https://www.jx-nmm.com/ |