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2025.04.10

AWS

「AWS導入はスモールスタートが正解!」クラウド導入成功事例~使いたい機能だけ、サーバーレスで賢く始める!メール機能だけクラウド化!~

企業がシステムを新しく導入・改善する際、最も重要なのは「自社のニーズを満たす最適な解決策を選ぶこと」です。すべての企業が必ずしもAWSの導入が最善策というわけではありません。
しかし、AWSには柔軟かつ高コストパフォーマンスなソリューションが多数用意されており、特定の課題に対して最適な解決策を提供できるケースが多くあります。

本記事では、AWSのメール配信サービスAmazon SESとサーバーレス環境のAWS Lambdaを活用し、「メールサーバーを構築することなく、お客様の要件を満たすメール送信機能を実現した事例」を紹介します。
「どのようなケースでAWSが最適なのか」「スモールスタートが有効なのはどのような場合か」を考えている方にとって、選択のヒントになる内容となっています。ぜひ参考にしてください。

目次

1.背景:システム統合に伴うメール送信の課題

ある企業様より、サイト統合に伴い、新たなシステムを導入する際のメール送信の方法をどう設計すべきかについてご相談をいただきました。
具体的には、「メール送信専用で良いので、コストや保守性、セキュリティを考慮した最適な仕組みを提案してほしい」とのこと。オンプレミス型のメールサーバーだけでなく、クラウドサービスの利用も含めてご検討されていました。
ヒアリングを進める中で、次のような要件が明確になりました。

  • メールは送信専用で、受信は不要
  • 送信履歴を確認できるよう、ログの保存が必要
  • セキュリティ担保のため、アカウント認証に加えて送信元IPアドレスによる制限が必要

これらの要件を踏まえ、フューチャースピリッツでは、お客様の運用環境やご要望に応じた複数の構成案を検討しました。

2.AWSによる最適な解決策の提案

企業のニーズは、「新たに導入するシステムから送信専用のメールサーバーを利用したい」というものでした。
そこで営業担当がヒアリングを行い、エンジニアチームと連携しながら以下の選択肢を含めた複数の案を検討しました。

  • 当社のレンタルサーバーサービス(フューチャーウェブ プロ/VPS)をメールサーバーとして利用する案
  • AWSのメール送信サービスであるAmazon Simple Email Service(以下、SES)をお客様要件に準じてカスタマイズする案

いずれも当社で取り扱い実績のある選択肢ですが、以下の理由からレンタルサーバー型のサービスは最終的に不採用となりました。

レンタルサーバーが選ばれなかった主な理由

  • メール受信が不要なため、レンタルサーバーの機能が過剰である
  • メンテナンスに伴う一時的なサービス停止が避けられず、可用性の面で懸念があった
  • 送信専用用途として、なるべくシンプルかつコストを抑えた構成が望ましかった

一方で、SESを採用する場合は、レンタルサーバーでは標準的に実現できていた機能が実現可能かどうかを確認する必要がありました。特に、新たに導入されるシステムと連携するにあたり、以下の要件が重要な検討ポイントとなりました。

システム連携において必要とされた要件

  • 送信ログを保存・検索できること
  • 一般的なメール送信プロトコル(SMTP)で送信できること
  • 導入するシステム以外からのメール送信を制限できること

これらの要件に対して、AWSの各種サービスを組み合わせることで解決が可能であると判断しました。
具体的には、以下のような構成です。

要件内容 対応したAWSサービス 利用方法・役割
送信ログを保存・検索できること Amazon DynamoDB メール送信のログを保存・参照するためのNoSQLデータベースとして利用
一般的なメール送信プロトコル(SMTP)で送信できること Amazon SES SMTP対応のメール送信サービスとして利用
導入するシステム以外からのメール送信を制限できること AWS Identity and Access Management(IAM) IAMポリシーにより、送信を許可するアクセス元(IPアドレスなど)を制限
上記に必要な前処理(メール内容の整形や検証など)を実行したい AWS Lambda メール送信前の処理をサーバーレスで実行するために利用

これらのサービスを組み合わせることで、セキュリティや保守性、拡張性を担保しながら、シンプルかつスケーラブルなメール送信基盤を構築できることが確認できました。

AWSを採用した理由

最終的に、AWSを採用することで、以下のようなメリットを実現できると判断しました。

  • 大量のメール送信にも対応可能
    従来のサービスでは送信数に制限がありましたが、AWSを活用することで安定して大量のメール送信が可能になりました。
  • 運用コストの削減
    メールの受信機能は不要というご要望だったため、必要な機能だけに絞った構成にすることで、無駄なコストを省くことができました。
  • 既存システムとの連携がしやすい
    AWSには柔軟な連携手段が用意されており、新たに導入されたシステムともスムーズに統合できました。
  • 将来的な拡張にも柔軟に対応
    初期は小規模な構成でも、今後の業務拡大やシステムの追加にあわせてスムーズに拡張できる点も安心材料となりました。
  • 迷惑メール対策も標準で対応可能
    メールの信頼性を高めるための対策(SPF、DKIM、DMARC)も標準的に導入でき、受信者にとっても安心できる配信が実現できました。
  • 導入後の運用・保守も簡単
    専用サーバーの管理が不要で、メンテナンスの手間を減らせるため、長期的な運用負担も大きく軽減されました。

営業担当とエンジニアが連携し、お客様のご要望や課題を丁寧に整理したうえで、最も適した形でシステムを構築できたことが、今回のプロジェクト成功のポイントでした。

3.今回のシステム構成のポイントと工夫

今回の構成では、単なるメール送信にとどまらず、配信管理機能やセキュリティ要件への対応も含めた仕組みを、AWSのサーバーレスサービスを活用して構築しました。サーバーの管理が不要な構成とすることで、運用の手間を最小限に抑えつつ、柔軟かつ拡張性の高いシステムを実現しています。

具体的には、AWSのメール送信サービスであるAmazon SESに加え、処理の自動実行を担うAWS Lambda、ログ保存用のデータベースであるAmazon DynamoDBを組み合わせることで、送信結果の記録・検索といった配信管理機能を実現しています。SESが配信結果(配信成功、バウンス、苦情など)を通知するたびにLambda関数が自動で実行され、送信ステータスや失敗理由、開封状況などをDynamoDBに記録する仕組みです。これにより、送信メール1通ごとの結果を後から確認できるようになり、トラブル時の原因調査や、継続的な運用改善にも役立てることが可能になりました。

また、セキュリティ面でのご要望として「どこからメールを送信するかを制限したい」という条件があったため、SMTP認証に加えて、特定のIPアドレスからの送信のみを許可する設定を施しました。AWSの柔軟な設定機能を活用することで、許可されていない環境からの送信をブロックし、不正利用のリスクを大きく減らすことができました。

4.まとめ

AWSの導入は、一見するとハードルが高いように思えます。しかし、適切な設計と運用によってコストを抑えながらも高い信頼性と、将来の事業成長に柔軟に対応できる拡張性を備えた環境を構築することが可能です。

フューチャースピリッツでは、お客様のご要望やシステム要件を丁寧にヒアリングし、AWSを含む複数の選択肢の中から、最適な構成をご提案しています。必要に応じてLambdaなどのマネージドサービスも組み合わせながら、導入から運用・保守までトータルでサポートいたします。
AWSに関する専門知識がなくても大丈夫です。まずは無料相談をご活用ください。

今後も「AWS導入はスモールスタートが正解!」シリーズでは、実例を交えながら導入のヒントをお届けしていきます。お楽しみに!

AWSの導入を検討中の方、または運用に課題をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

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