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2024.09.05

用語解説

【AWS WAFとは?】押さえておきたい基本情報と導入から最適化までのポイント

目次


現代のインターネット環境では、セキュリティが重要な要素となっています。特にWebアプリケーションを保護するWAF(Web Application Firewall)は、悪意のある攻撃からアプリケーションを守る役割を果たします。この記事では、AWSが提供するクラウド型WAFである『AWS WAF』について、基本的な概要から機能、導入・運用・最適化までのポイントを解説します。

WAFとは?

WAFは、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃からWebサイトを保護するためのセキュリティ対策です。アプリケーションレベルでの通信内容を解析し、特定の条件に一致する通信を検知・遮断します。たとえば、攻撃者が悪意のあるSQLコードをWebアプリケーションのデータベースクエリに挿入するSQLインジェクションや、悪意のあるスクリプトをWebページに埋め込んで他のユーザーがそのページを閲覧した際に実行されるクロスサイトスクリプティング(XSS)などの攻撃が対象です。WAFは、アプリケーション層(L7層/レイヤー7)のDDoS対策や不正なボットアクセスの遮断など、Webアプリケーションの安全性を高めるために広く利用されています。

アプリケーション層:インターネットのOSI参照モデルにおける7つの層の最上位層を指します。この層は、ユーザーが操作するソフトウェアアプリケーションのデータ処理を担当し、アプリケーションが処理可能な形式でデータを提供します。代表的なプロトコルとしては、HTTP/HTTPS、FTPなどがあります。アプリケーション層では、データがユーザーと直接やり取りされる形で表示されます。

AWS WAFとは?

AWS WAFは、AWSが提供するクラウド型のWAF(Webアプリケーションファイアウォール)です。必ずAmazon CloudFrontやApplication Load Balancer (ALB)、API Gatewayと連携して動作する点が特徴です。SQLインジェクションやXSSなどの攻撃からWebアプリケーションやAPIを保護します。AWS WAFを使用することで、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃から守ることができます。さらに、リアルタイムのフィルタリングや自動化されたルール設定により、高いセキュリティレベルを維持できます。

AWS WAFの主要機能

AWS WAFは、Webアプリケーションに対するさまざまなセキュリティ機能を提供し、安全なWeb環境を構築します。AWS WAFの主要機能には、一般的な攻撃シグネチャに基づく防御、カスタムルールと自動更新による効果的なセキュリティ対策、そしてAmazon CloudFrontやApplication Load Balancer (ALB)との連携によるセキュリティ強化などがあります。これにより、一元的なセキュリティ管理が可能となり、Webアプリケーションを包括的に保護することができます。以下に各機能について詳しく解説します。

一般的な攻撃シグネチャに基づく防御

AWS WAFは、一般的な攻撃シグネチャに基づくルールセットを使用して、既知の脆弱性を悪用する攻撃を効率的に検出・防御します。

カスタムルールと自動更新による効果的なセキュリティ対策

AWS WAFは、最新の脅威に迅速に対応するルールの自動更新機能と、ユーザーのニーズに合わせてカスタムルールを作成できる柔軟性を備えています。例えば、特定のIPアドレスからの不審なアクセスを検知した場合には、カスタムルールを使って即座に自動でブロックすることが可能です。この機能により、セキュリティ対策の効率と精度が向上します。また、セキュリティエンジニアの手動対応の負担が軽減され、より重要な課題に集中できるようになります。

Amazon CloudFrontやApplication Load Balancer(ALB)との連携でのセキュリティ強化

AWS WAFは、Amazon CloudFrontやApplication Load Balancer(ALB)とシームレスに連携し、SQLインジェクションやXSSといった攻撃からWebアプリケーションやAPIを保護します。AWS WAFは単独で使用することはできず、必ずCloudFrontやALBなどのAWSサービスと組み合わせて使用する必要があります。特にCloudFrontでは、AWS WAFの機能を強化するいくつかの機能が用意されています。

具体的な機能として、以下が挙げられます。

  • ・エッジロケーションでの検査:ユーザーに最も近いネットワークであるエッジロケーションで、トラフィック処理時にAWS WAFのルールを適用できます。これにより、攻撃を早期に検知し、アプリケーションに到達する前にブロックすることが可能です。

  • ・レート制限ルール:特定のIPアドレスや地域からのリクエスト数を制限することで、DDoS攻撃やボットによる過剰なリクエストを防ぎます。

これらの機能を活用することで、CloudFrontを介したトラフィックの分散に加え、遅延なく迅速に攻撃を検知し、WebアプリケーションやAPIを強力に保護することが可能です。

さらに、一元的にセキュリティルールを設定・管理できるため、異なる配信および処理のフロントエンドに対して統一されたセキュリティポリシーを適用できます。これにより、分散型環境でも効果的なセキュリティ対策を実施することができます。

Amazon CloudFrontでAWS WAFを設定する方法については、以下の記事をご参考にしてください。
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ワンクリックでAmazon CloudFrontに AWS WAFを設定する

AWS WAFのDDoS、XSS、SQLインジェクションへの防御方法

サイバー攻撃は年々高度化しており、特に脆弱性を狙った攻撃が増加しています。AWS WAFは、Webアプリケーションを標的とするDDoS攻撃、XSS、SQLインジェクションなどの脅威から効果的に保護するツールです。アプリケーション層の脆弱性を狙った攻撃は、適切な防御策がなければ重大な被害を引き起こす可能性があります。ここでは、AWS WAFがDDoS攻撃、XSS、SQLインジェクションといった各脅威に対して、どのように防御するかを説明します。

  • ・DDoS攻撃:DDoS攻撃(Distributed Denial of Service Attack)は、サーバーに対して大量の通信を送りつけ、ダウンさせるサイバー攻撃です。攻撃が複数のIPから行われるため、攻撃者が単一のパソコンから行うDoS攻撃よりも防御が難しくなります。

    <DDoS 攻撃のイメージ (参考:https://www.shadan-kun.com/waf_websecurity/dos_ddos_attack/)>


    AWS WAFは、特定のIPアドレスやトラフィックパターンをフィルタリングし、大量リクエストをブロックすることで、DDoS攻撃からアプリケーションを保護します。DDoS攻撃はアプリケーション層で発生することが多いです。

    AWS WAFは、アプリケーション層への攻撃に対して防御します。一定期間のリクエスト数に基づくレートベースルールやマッチ条件を利用して攻撃を検知・遮断します。また、AWS Shield Advancedと併用することで、AWSのDDoS対策専任チームからサポートを受けられます。

  • ・XSS(クロスサイトスクリプティング):XSSは、Webサイトの脆弱性を利用してHTMLに悪質なスクリプトを埋め込む攻撃です。AWS WAFは、ユーザーから送信されたスクリプトがWebページに埋め込まれるのを防ぐため、特定のスクリプトパターンを検知し、実行をブロックします。

  • ・SQLインジェクション:SQLインジェクションは、Webアプリケーションの脆弱性を悪用して、断片的なSQL文(SQLクエリ)を不正に注入(インジェクション)し、アプリケーションを実行させる攻撃手法です。AWS WAFは、データベースに悪意のあるSQL文(SQLクエリ)が送信されるのを防ぐため、SQLインジェクション攻撃を検知し、ブロックするルールを適用します。

AWS WAFの導入・運用・最適化

AWS WAFの特徴として、簡単にデプロイできることやカスタマイズが可能である点が挙げられます。AWS WAFは、AWSコンソールから簡単な操作で迅速に始めることができます。

また、AWS WAFの運用では、定期的なモニタリングとルールの最適化が重要です。リアルタイムのトラフィック分析を行うことで、攻撃の兆候を早期に発見できます。AWS WAFは自動更新機能を備えており、最新の脅威に対応しますが、カスタムルールの調整や定期的なレビューも欠かせません。

AWS WAFの導入手順に加えて、導入、運用、最適化において必要なポイントについて説明します。

AWS WAFの導入手順

AWS WAFの導入手順を簡潔に説明します。

  • 1. 準備:AWSアカウントを作成し、AWS WAFを利用するためのIAM(Identity and Access Management)設定を行います。

  • 2. Web ACLの作成:AWSコンソールでWeb ACL(Access Control List)を作成し、ルールを設定します。この設定で、特定の条件に一致するリクエストがブロックされます。

  • 3. ルールの設定:SQLインジェクションやXSSなどの攻撃から保護するためのプリセットルールやカスタムルールを設定します。

  • 4. リソースの関連付け:作成したWeb ACLをAmazon CloudFrontやALBなどのAWSリソースに関連付け、WAFを有効化します。

  • 6. テスト:設定が正しく機能しているかをテストし、必要に応じてルールを調整します。

AWS WAFの導入、運用、最適化に重要なポイント

前述のように、AWS WAFの運用では、定期的なモニタリングとルールの最適化が大事です。自動更新機能を備えており、最新の脅威に対応できる点は便利ですが、カスタムルールの調整や定期的なレビューも必須です。以下に、AWS WAFの導入と運用そして最適化を成功させるためのポイントを説明します。

AWS WAFの導入時に確認しておきたいポイント

  • ・セキュリティ要件の確認:AWS WAFの導入にあたり、まずはプロジェクトやアプリケーションのセキュリティ要件を明確にすることが重要です。これらの要件に基づいて、AWS WAFが適切に保護できるかを確認します。事前の要件確認により、導入後の運用がスムーズです。

AWS WAFの運用に重要なポイント

  • ・脆弱性に対応した安全なルールの作成:誤検知を防ぎつつ脆弱性に対応した安全なルールを作成することが重要です。組織固有のリスクに対応するために、カスタムルールを設定することも必要です。また、AWS WAFでは、自ら新たな脆弱性のリサーチやその対応を行う必要があります。そのため、効果的なルール作成にはエンジニアの知識が必要です。

  • ・料金の考慮:AWS WAFは、Web ACLごとに料金が発生し、設定するルールの数に応じて加料金も加算されます。例えば、1つのWeb ACLに複数のルールを設定すると、それらのルールに対しても個別に料金が発生します。そのため、コスト管理を考慮した設定が重要です。

  • ・他のセキュリティツールとの連携:AWS WAFは、AWS Shield、Amazon GuardDuty、AWS Security Hubなどの他のAWSセキュリティサービスと連携することで、より強力なセキュリティ対策ができます。これにより、異なるレイヤーでの攻撃検知や自動対応が可能となり、総合的なセキュリティが強化されます。

AWS WAFの最適化に重要なポイント

  • ・モニタリングとルールのチューニング:AWS WAFのモニタリングやログの設定を行い、定期的にアクセスログを確認して、ルールをチューニングします。この際、脅威の検知と防御性能の維持を両立させるために、管理画面の定期的な確認とルールの最適化が重要です。

  • ・「WafCharm」の活用:AWS WAFの運用と最適化を効率的に行うために、「WafCharm」の利用を検討するのも一つの方法です。「WafCharm」は、世界中のWeb攻撃パターンを学習し、AWS WAFなどのクラウドサービス向けにルールを最適化するクラウドWAFの自動運用サービスです。


    <WafCharmのイメージ(出典:WafCharm)>

    例えば、アクセスログを基に新たな攻撃や脆弱性に対応するルール(シグネチャ)を自動的に作成・更新します。また、WAFで漏れた脅威に対しても、数百のシグネチャで再マッチングを行い、攻撃者と認定したIPアドレスをブラックリストに自動追加し遮断します。

    「WafCharm」を利用することで、専任のセキュリティエンジニアを必要とせずに、AWS WAFの運用をスムーズに行うことができます。

まとめ

本記事では、AWS WAFの基本的な概要から機能に加えて、導入、運用、最適化に重要なポイントなどを説明しました。AWS WAFは、Webアプリケーションをさまざまな脅威から保護する強力なツールです。効果的に導入・運用することで、アプリケーションの安全性を高め、ビジネスリスクを最小限に抑えられます。

既に導入されている方は、自動化やカスタムルールの活用を通じてセキュリティをさらに強化することをおすすめします。定期的な見直しとアップデートを行うことで、常に最新のセキュリティ対策を維持できます。

また、弊社ではAWS WAFに加え、「WafCharm」も提供しております。AWS WAFの利用が前提となりますが、AWS WAFに設定したルールのさらなる最適化を自動的に実施してくれるサービスです。

AWS WAFを効果的に活用して、Webアプリケーションの安全性を向上させましょう。

出典
AWS:
AWS WAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)
AWS:
AWS WAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)とは?
WafCharm:
WafCharmとは
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【Amazon CloudFrontとは?】初心者でもわかるざっくり解説
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