Amazon S3(Simple Storage Service)は、アマゾン ウェブ サービス (AWS)が提供するクラウドストレージサービスです。Sが3つ揃っていることから【S3】と一般的に呼ばれます。Amazon S3は、データやファイルをオンラインで保存し、必要なときにアクセスできるようにするための便利なツールで、耐久性と可用性が非常に高くデータの中長期保存やバックアップに最適なストレージです。また、単に画像やファイルなどのデータを保存するだけではなく、CloudFrontを併用することでコンテンツの配信などにも利用されます。以下では、Amazon S3の特徴や活用方法についてわかりやすく解説いたします。
Amazon S3の主な特徴
■耐久性と可用性
Amazon S3の大きな特徴としてデータの耐久性と可用性があり、これらを担保するために高度な冗長性を提供しています。データは複数の地理的リージョンに自動的に複製されるため、ハードウェア障害や自然災害などによるデータ損失のリスクを最小限に抑えることができます。また、Amazon S3は99.999999999%の耐久性を実現し、信頼性の高いデータ保管を保証します。
■スケーラビリティ
Amazon S3は非常にスケーラブルなストレージサービスであり、使用できる容量は無制限という特徴があります。データ量の増減に柔軟に対応し、容量の変更やコストの追加など、手動のスケーリング手続きを行う必要はありません。データのアップロードやダウンロードが急増しても、高いパフォーマンスを維持しながらデータの取り扱いが可能です。
■アクセス制御
Amazon S3は細かなアクセス制御を提供し、データのセキュリティを確保します。バケットやオブジェクト単位でアクセス権限を設定できるため、必要なユーザーやアプリケーションのみがデータにアクセスできるように制御できます。公開・非公開の設定や署名付きURLを利用して、安全なデータ共有を実現します。
Amazon S3の利用コスト
Amazon S3はデータ量とリクエスト、データ転送に対し料金が発生します。課金される項目について、下記の表にまとめました。
ストレージ容量 | 保存しているオブジェクトに対する料金。 |
リクエスト | データのアップロードやダウンロードに対する料金。 |
データ転送 | リージョンの外へデータ転送する場合の料金。 |
Amazon S3にはストレージクラスごとに価格帯が存在しています。保管するデータが多い場合や、データへのアクセスパターンに応じ、適切なコストプランを練ることが可能となっているのが特徴です。このストレージクラスはライフサイクルポリシーを利用することで自動化することが可能です。
また、インターネットからAmazon S3へデータ転送受信した場合には料金は発生しないこと、利用するリージョンによっても料金が異なることなどAmazon S3の料金体系にはいくつかの特徴があります。Amazon S3の料金の詳細については AWS の公式ページをご覧ください。
Amazon S3活用例
ここからはAmazon S3を実際にどのように活用すればよいか、活用例を2つ挙げさせていただきます。
1. オンラインストレージとファイル共有プラットフォームの構築
Amazon S3は、オンラインストレージおよびファイル共有プラットフォームの構築に広く活用されています。例えば、企業内のチームや外部のクライアントとのファイル共有を、Amazon S3を使用して行うことが可能です。Amazon S3の特徴であるアクセス制御を利用することで、アクセス権を細かく調整し、安全な環境でファイル共有を実現することが可能です。
2. ビッグデータの保存と分析基盤の構築
Amazon S3はビッグデータの保存と分析基盤としても活用されています。企業はさまざまなデータソースから得られる大量のデータをAmazon S3に格納し、そのデータを分析プラットフォームと組み合わせ分析を行うことができます。例えば、ログデータ、ウェブサーバーログなどのデータをAmazon S3にアップロード、Amazon AthenaやAmazon Redshiftなどのサービスを使用してクエリや分析を行います。Amazon S3の耐久性とスケーラビリティによって、大量のデータを保管しながら分析の基盤としても活用可能です。
まとめ
以上、Amazon S3について解説いたしました。大量のデータを安全に保管し、必要な時に簡単に取り出せるクラウドストレージサービスですが、ファイルのバックアップや共有などAmazon S3は多岐にわたる用途で使えます。また、アクセス制御機能のおかげで、大事なデータを保管・共有するにあたりセキュリティ面で安心して使用することが可能です。さらに、Amazon S3は、シンプルで使いやすいだけでなく、他の AWS サービスとも組み合わせて新たな可能性を引き出せる点もポイントです。