クラウドインテグレーション事業本部の神戸です。
昨年12月に実施されたさくらのクラウド検定2024年第2回試験を受検し、合格しました。
この記事では、さくらのクラウド検定の概要と感想、合格のために私が行った勉強法をまとめています。
さくらのクラウド検定の概要
詳細はさくらのクラウド検定公式サイトを見ていただきたいですが、試験概要は以下の通りです。
- 受検資格: 制限なし
- 試験時間: 60分間
- 試験方式: オンライン実施・多肢選択式・設問数100問
- 受検費用: 一般11,000円(税込)・学生3,300円(税込)
受検の申し込み、無料オンライン講座、試験本番、いずれもこちらの受検サイトから行います。
60分で100問なので、そこそこ快速ペースで回答する必要があります。複雑な計算問題は出題されず、「知っていれば答えられる」、「知らないといくら考えても答えられない」問題が大半を占めていました。選択肢から正しいものを選ぶ設問、間違っているものを選ぶ設問がほとんどですが、「正しい答えを全て選べ」式の問題もいくつか。
ひっかけ問題はあまりなく、正しい知識を持っていれば答えられる問題が多かったと思います。さくらのクラウドの仕様については、サーバーのプランのディスクサイズ等少し細かい知識も求められていました。後述するリソースから、基本的な仕様を暗記することをお勧めします。
試験範囲は、大きく3つの領域で構成されています。
- デジタル技術の基礎
- さくらインターネットのサービス
- さくらのクラウドでのアーキテクチャ設計
「デジタル技術の基礎」は、コンピュータやサーバーやネットワークの基礎知識に関する問題で構成されています。さくらのクラウド検定に特化した勉強をしていなくても、ITパスポートを合格できるレベルの知識があれば十分答えられます。昨今の世相を反映してか、セキュリティに関する設問が目立った気がします。
「さくらインターネットのサービス」は、さくらのクラウドに限らず、さくらインターネットが提供するサービスの基礎知識が問われます。さくらインターネットのサービス利用者なら、勉強時間は短くてすむかもしれません。
「さくらのクラウドでのアーキテクチャ設計」は、さくらのクラウドの仕様や用法、さくらのクラウドを用いたソリューションに関する知識が必要な領域です。さらに、さくらのクラウドは、さくらインターネットの別のサービスや他社サービス(AWS等)と接続するためのサービスを多数そろえているため、多岐に渡る接続方法も正確に理解する必要があります。
さくらのクラウド検定の学習法
公式サイトは、さくらのクラウド検定の難易度を「情報処理技術者試験のITパスポートよりもやや難しいものとなる予定です」と説明しています。同じく公式サイトによると、「『2024年第2回試験』の受検者数は195名。そのうち合格者数は136名、合格率は70%」とのこと。
IT業界歴約18年の非エンジニアであり、営業や自社システム企画・運用の実績を持つビジネスパーソンの主観としては、計算問題や技術的基礎知識を問う問題が少なめで、さくらインターネットやさくらのクラウドについて習熟すればだいたいの問題には答えられるということで、学習はしやすいと感じました。
ちなみに私はITパスポート未取得ながら、学生時代、1998年にITパスポートの前身に当たる初級システムアドミニストレータ試験に合格しています(笑)。
インターネットやコンピュータについての基本的な知識(ITパスポートやインターネット検定ドットコムマスターを合格できるレベル)がある人は、下記2つのサイトを熟読し、学習すれば合格点に到達できると思います。
受検サイトのオンライン講座が、かなり充実しています。映像講座、PDF資料、ミニテストで構成されていて、これらをきっちり学習すれば出題範囲の全容をつかめます。
また、さくらのクラウド公式サイトの製品ページはひと通り目を通しておくことを推奨します。掲載されているもののうち、サードパーティの製品よりもさくらインターネットの製品を重点的に読んでおくとよさそうです。ちなみに、同じパブリッククラウドではありますが、AWSやAzureの知識を生かせる場面はあまりありませんでした。ただ、さくらのクラウドにはAmazon S3互換サービスがあるため、S3、EC2、RDS等AWSの最頻出のサービスは知っておいた方がいいかもしれません。
私個人はネットワーク関連の知識にやや不安があったので、ルータ、ブリッジ、ロードバランサあたりの内容を特に学びました。逆にビジネス寄りの知識やコンピュータの一般知識はそこそこ知見を持っているつもりなので、学習時間は少なめで済みました。
学習に要した期間は、オンライン講座のアカウント登録をしたのが受検日の約3週間前、本格的に勉強し出した(1日30分~1時間)のが2週間前。直前日は半日ほどかけて集中的に覚え込みました。
なお、インターネットの基礎知識をイチから学ぶ方は、さくらのクラウド検定よりも、ITパスポートやインターネット検定ドットコムマスターにチャレンジすることをお勧めします。
最後に
私のスコア(得点率)は、以下の通りでした。
- 1. デジタル技術の基礎: 87%
- 2. さくらインターネットのサービス: 100%
- 3.1. さくらのクラウドで実現するシステム構成設計: 70%
- 3.2. セキュリティの設計: 100%
- 3.3. 可用性と拡張性の設計: 100%
- 3.4. コストパフォーマンスの設計: 81%
3.1.が低めだったことは反省点です。ネットワーク関連の知識は、もう少し研鑽が要るかなと。セキュリティ設計のスコアがよかったことには、ちょっと自信が持てます。
なお、合格基準は未公開ですが、他のITベンダー試験並みの評価基準を想定するなら、おおむね余裕のある合格だったと思います。
さくらのクラウド検定は、さくらのクラウドそのものの知識を整理するだけでなく、インターネット、コンピュータ、セキュリティといったIT分野の基本的な知識を網羅的に学習するに当たってのマイルストーン設定として適した資格試験です。
さくらのクラウドの事業成長、今後の本邦のクラウドシフトが進展するにつれ、さくらのクラウド検定の評価も上がっていくものと思います。ぜひ、今のうちにさくらのクラウドを学んでおいて、これから訪れるビッグウェーブに備えてみてはいかがでしょうか。