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2025.04.17

さくらのクラウド

「ソブリンクラウド」という選択肢ークラウドに問われる「データの主権」

クラウド活用が当たり前になった今、私たちはいつの間にか「データの置き場所」に無頓着になっていないでしょうか。利便性やグローバル展開のしやすさから海外クラウドを採用する企業も多い一方で、その選択に伴う“見落とされがちなリスク”にも、改めて注目が集まっています。
たとえば、どの国の法律がそのクラウドに適用されるのか、いざというときにどの国がデータへアクセスできるのかといった「データ主権」の問題。
加えて、国際的な経済摩擦の影響や、外国の法制度との整合性リスクなど、クラウドにおける“法的な境界線”が、企業のITガバナンスに直接関わる時代が訪れています。

目次

なぜ今「ソブリンクラウド」なのか

こうした中で注目されているのが、「ソブリンクラウド(Sovereign Cloud)」という考え方です。ソブリンクラウドとは、データの保存場所や管理主体を自国に限定することで、法的リスクや情報漏えいの不安を抑えるクラウド運用のあり方を指します。国家や公共機関、医療・教育といった機密性の高いデータを扱う分野では特に重視されており、「どこで・誰によってデータが保管・処理されるか」が、クラウド選定の重要な判断軸となっています。
この考え方は、特定の業種に限られたものではなく、海外法の適用リスクや、地政学的な緊張に伴うインフラ停止リスクなどを回避するために、民間企業でも自国の法制度に準拠し、国内で完結するクラウド環境へのニーズが高まりつつあります。

国内でのデータ運用が確実であること、万一の際にも迅速な対応が可能な体制が整っていること、さらには国内法に準拠した形で監査や証跡管理が行えることなど、情報主権を守るうえでの安心感がソブリンクラウドの大きな価値です。
こうした背景から、特に日本国内でも、海外クラウド一辺倒ではなく、自国の法制度やリスク環境に応じた選択をする動きが広がっています。

GDPRは「他人事」ではない

近年では、特に欧州連合(EU)が定めたGDPR(一般データ保護規則)に対する関心が高まっています。GDPRはEU域内の個人データ保護を目的とした厳格なルールであり、EU域外へのデータ移転についても厳しく制限しています。たとえ日本国内で事業を行っている企業であっても、EU市民の個人情報を収集・利用している場合には、「どこにデータを保管・処理しているか」や「どの国を経由して通信しているか」といった点が、GDPRの規制対象となり得ます。

実際に、日本企業でも以下のような事例があります

  • NTTデータのスペイン子会社がGDPR違反で制裁金を受ける
  • トヨタ自動車がGDPR対応のため欧州拠点を設立
  • 任天堂がGDPR準拠のプライバシーポリシーを公開

これらはすべて、日本企業であっても「データの越境移転」が避けて通れない課題となっていることを物語っています。
こうした背景からも、あらかじめ国外にデータが移転しない構成をとる「ソブリンクラウド」の重要性が、法的・国際的な観点からも再認識されているのです。

その他の海外クラウドの利用に伴うリスク

  • 外国法の適用リスク(例:米 CLOUD法)
    AWSやMicrosoftのような米国クラウドは、アメリカの法律に従う必要があります。
    このため、たとえ日本国内に保存されたデータであっても、米国政府が法的手続きを経て開示を要求するケースがあり得ます。
    ※CLOUD法(Clarifying Lawful Overseas Use of Data Act)は、米国のクラウド事業者が海外に保管されたデータにも開示義務を持つと定めた法律です。
  • データ主権の喪失
    海外企業のクラウドに保存されると、自国の法律や監視下から外れるおそれがあります。
  • 障害対応の遅延リスク
    サポートが海外拠点のみの場合、日本語対応が遅れる可能性があります。
  • 監査や証跡取得の困難
    外国企業のクラウドでは、監査対応や証跡の取得が困難になることがあります。

こうしたリスクを踏まえると、国内で完結できるクラウド環境の需要が高まっているのは自然な流れといえるでしょう。

「さくらのクラウド構築・運用パック」という選択肢

当社では、国産クラウドの代表格である「さくらのクラウド」を活用した「さくらのクラウド」構築・運用パック」を提供しています。
北海道・石狩にあるデータセンターを基盤に、国内企業による管理・運用が徹底されており、まさにソブリンクラウドの要件を満たすサービスです。
さらに、ISMAP対応や、医療・教育・自治体など公共性の高い分野への導入実績も豊富で、信頼性・安全性の観点でも高く評価されています。
当社のパックでは、インフラの設計から運用保守、BCP(事業継続計画)を見据えた構成提案までワンストップで対応可能です。
「データの所在が明確であること」「日本語でのサポートが受けられること」といった要素は、クラウド移行に慎重な企業にとって大きな安心材料になります。
「さくらのクラウド」構築・運用パックでは、オンプレミス環境からの段階的な移行や、海外クラウドと組み合わせたハイブリッド構成も柔軟に設計できるため、初めてのクラウド導入にも適しています。

フューチャースピリッツができること

私たちは、国内外のクラウドの特性を理解し、お客様の課題や目的に合わせた最適な構成をご提案・運用することを得意としています。
AWSのような海外クラウドは、その性能や柔軟性から広く活用されています。私たちもその強みを理解し、最大限活用しています。特に、グローバル展開や高度なAI・機械学習(ML)といった高度な技術基盤などを必要とするお客様にとっては、AWSの存在は不可欠です。
そのうえで、「すべてを海外クラウドに任せてしまう」のではなく、国産クラウドを「もうひとつの柱」ととして併用することで、セキュリティ・可用性・法規制対応などの観点からリスクを軽減できます。
海外クラウドに不安や課題を感じたら、まずはお気軽にご相談ください。
国内のクラウド活用を含めた、最適なクラウド構成をご提案いたします。

「さくらのクラウド」構築・運用パックに興味のある方はこちら

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